第32怪『夢のベクトル』
- 2023.01.01
- 未分類
- Magical Lizzy Band, THE BEGGARS, THE FOOLS, ウィスキーズ, カノン, シーナ&ロケッツ, ジョージ, よもヤバ話, ローリンストーンズ, ロックバンド, 久保田麻琴, 伊藤耕, 山口冨士夫, 青木真一, 高円寺, 高円寺バンド, 鮎川誠
藻の月を眺めながら2年余りが過ぎた。
僕は何かとこじつけて
物事を考えるのが好きなので、
月の満ち欠けとバンドを引っ掛けて
(藻の月の)LIVEを行おうと想ったのだが、
感染症が世間に蔓延したこともあり、
思い通りにはいかなかった気がする。
冬が過ぎ春になり、
浮き足立つ気持ちで夏を迎え、
秋になるころには落ち着こうと
徐々にまた冬に向かって行くころ、
藻の月が何処の位置で満ちるのか
皆目見当がつかなくなったのだ。
そんな矢先のクリスマスイブに🎄
恒例のイベント『Stones Nite』で
ステージを眺めていたら、
隣で立椅子に腰掛けていたジョージが、
耳もとでデッカい声を張りあげた。
「俺たちの向かう夢のベクトルは、そこいらの奴らとは違うんだぜ!」
その声は右耳の鼓膜を通り、
聴神経から脳に伝えられ、
ゆらりと意識の中へと弾き出る。
ジョージは時々良いことを言う。
たいがいは酔っぱらった時なので、
何の脈絡もない心の揺らぎみたいな
ものなのかも知れないが、
さぞかし色んな想いを溜め込みながら
ギターを鳴らしているのだろう。
息を一気に吐き出すように
思いの丈を言葉にするのだ。
ステージでは
ミックに取り憑かれたジャガリコが、
″悪魔を憐れむ歌″を歌っていた。
絡みつくジョーのギターが華やかに宙を舞う。

しかし、
そこにはキースを気取ったハマちゃんがいない。
誰よりもべガーズを楽しんでいたトビーは、
この世に存在していないのだ。
何もかもが永遠ではないにしろ、
時の流れに目をやると
あっという間に行き過ぎる景色が、
永い車窓のようにも思える。
しかし、過ぎ去った風景は
二度と戻っては来ないのである。
そんな中で、もう15回を数えるという
Stones Nite でMCをこなす池田会長が、
(Rolling Stones F.C.会長)
かつてのF.C.会誌から
冨士夫を呼び起こしてくれた。

「これ、いつなんだろう?冨士夫のインタビューを前後編で掲載したんだよ」

池田会長が会誌を手に持ち、
なんとなくというようにめくる。
時はストーンズ初来日の頃、
キースの表紙が踊る中ページで、
TEARDROPSの山口冨士夫が
照れるようにインタビューに答えていた。

あの頃はまだまだアナログな社会だった。
自らの存在をしめすには、
雑誌やメディアへの露出が
とても重要だったのである。

さて、
永遠に繰り返す月の満ち欠けのように、
僕らの心の陰陽も果てしなく続いていく。
できれば、その一瞬一瞬を捉え、
笑える景色が増えればと願うばかりだ。
そういう意味からすると、
僕にとっての“藻の月”は
滅多に無いめっけもんだったのかも知れない。
この数年、大切な人を失ったり、
大変な時を乗り越えたりするのに
“藻の月”の音楽や存在は
欠かせなかったからである。
ジョージの醸し出す音楽は、
心のいちばん内側の箱を開けるような
ちょっと隠微な響きをしている。
そこに安井のベースが加わり、
ディープな光が増すのだが、
それを容赦なく開けっ広げる
カノン独特のリズムと、
深く漂う空間に持って行ってしまう
レンのサイケデリックな音色は、
“藻の月”を唯一無二の景色へと
導いているかのようなのだ。
来年こそ、
“藻の月”の夢のベクトルを示そうと想う。
人生は映画や小説とは違い、
実際の僕らの日常は
な〜んてことない日々の連続だが、
それでも一人ひとりが
自分だけの夢を持った方がいい。
それは、永遠にも通じる物語の
たった今からの始まりなのだから。
2022年はありがとうございました。
明けて2023年が良い年になりますように、
謹んで願う次第です。
(2022/12/31)
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