2026年

第64怪『お盆なので、例の如く霊のはなし』

突然に目が合ったような気がした。 “若い女の子だ” そんな気がする。 見上げた天井の下くらいのところから じっとこちらを見ている。 悪友は僕が寝ている左側にあるベッドで 同棲している彼女とイチャついている。 「泊まっていけよ」 と言いながらイチャイチャするのが好きなのだ。 そんな悪趣味をすっかり忘れ […]

第63怪『真夜中の奇跡』

サッカーを始めたのは12歳の時だった。 僕らの時代は圧倒的に野球人気だったので、 サッカーというスポーツ自体がマイナーだった。 進んだ中学はサッカーの強豪校だった。 学校中の不良を入部させサッカー漬けにしたら 都大会で優勝したという実績を持っていた。 そんな漫画のような話は僕らが入った年にはもうなく […]

第62怪『初夏の空模様』

暑くなってきた。 と思ったら雨が降り、景色を濡らす。 春が過ぎて、梅雨と夏の狭間で 少しばかり落ち着かない気分になる。 やる気があるのか、 だらだらと過ごしたいのか、 はっきりとしない気持ちのまま、 くすんだ色をした空模様を見上げる。 『藻の月』が夏休みに入ってからもうすぐ1年が経つ。 花音は別のシ […]

第61怪『稲生座@高円寺』

初めて稲生座に行ったのは87年だった。 当時の僕は32歳になるフリーのデザイナーで、 文章も書いたりする仕事の在り方だった。 その少し前までは会社員で 激務の日々を送っていたのだが、 家族の平和のために会社を退職していた。 ちょうど、 つげ義春の『無能の人』が話題になっている頃で、 「アレって(無能 […]

第60怪『青ちゃんの誕生日/ストリートキングダムに寄せて』

この話は前回の続きになる。 僕は北鎌倉の家が気に入っていた。 環境はいいし、 何より心が穏やかになる気がするのだ。 “このまま此処に居着いて、 うっかり10年経ってしまいました” なんてことになるかも知れないな。 とか思っているところへ 母親から電話がかかってきた。 「定期検診でお父さんの病気が見つ […]