第43怪 お盆のちょっとこわいはなし

エクトプラズムを見たのは中2の時、 14歳の夏休みに行った従兄弟の部屋だった。 最初は煙草の煙かと思ったんだ。 モヤァっとした煙が 顔面1メートルくらいの空中に現れ、 ふわふわと漂っていた。 でもおかしい、 煙草なんか誰も吸わないし、 ぼくは不良にはなりたがったが まだ、煙草は吸いたくなかった。 身 […]

第42怪『親父の夏』

夏になると親父を思い出す。 白いランニングを着て、 ステテコを履いて近所を出歩いていた。 いま、そんな格好でフラフラしていたら、 即、セクハラ職質である。 しかし、当時のおっさんたちの夏は、 上半身が裸であった。 暑くて家に中にいられないので、 玄関脇の縁台にでも座り、 うちわでパタパタと突き出た腹 […]

第41怪『ジョージのバースデー』

某出版社の noteに ジョージのことを書き始めた。 それで気づいたんだけど、 実はジョージのことを あまりよく知らないのだ。 『ウイスキーズ』からの付き合いだから、 記憶の中に30歳そこそこの自分が思い浮かぶ。 その横でやたらと背の高い ハンサムボーイがはにかんでいる。 照れ隠しなのか、 ブラック […]

第40怪『月見ル君想フ』

春が来た。 日差しが柔らかくなり、 風がサワサワと音を立てている。 あっという間に芽吹いた緑は、 日常の景色を一変させ、 固まった心をほぐすように 人生の続きを示唆している。 庭を見ていると 順番に花の蜜を集めに来る虫たちが映る。 それは実に規則的で、 まずは小さな羽虫や蜜蜂が飛び回り、 やがてクマ […]

第39怪『チコヒゲ🥸と呑む@2023』

チコヒゲと会うのは1年振りだ。 昨年の春、 藻の月のLIVEを観に来てくれて、 ″ロックなんだね″と、 意味不明なコメントを残して 帰って行った振りなのである。 チコヒゲ先輩を呼ぶときに ほんとうは″さん″を付けなくてはならないのだが、 チコさんじゃへんだし、 ヒゲさんでもおかしい。 チコヒゲさんじ […]

第38怪『鮎川誠さんを偲ぶ』

クルマで渋谷に行くときに 井の頭通りを選択すると、 必然的に代田橋の駅前を通る。 もう何百回も通過した風景だが、 実際に駅に降り立つのは初めてだった。 駅からの階段を上がると Goodlovinのコイワイくんが 二日酔い顔でたたずんでいた。 「大丈夫か?今日は朝まで呑んでたんだろ?!」 捨てられた犬 […]

第37怪『ドッペルゲンガー』

20年以上も前になるだろうか、 僕は友人と出版社を作った。 友人は編集会社を経営していて、 僕はデザイン事務所をやっていたので、 合体して出版社をやれば 作りたい本を自由に出せると思ったのだ。 ところが、 遥か沖には″出版不況″という 大きな津波が顔を覗かしていた。 そんなことは気にもせず、 僕らは […]

第36怪『Magical Lizzy Band』

カノンのカウベルを持って地球屋に出向いた。 カノンが去年のイブに ShowBoatに忘れて行ったからである。 カウベルといえば、 高一のとき、母親の勤めていた 某都立高校の文化祭を見に行った際、 体育館のステージに ストーンズ風の学生バンドが 現れた時のことを思い出す。 カウベルのリズムと共に ″ホ […]

第35怪『縁“えん”は異(不思議)なもの』

「運転手さんは、今どこらへんですか?」 いきなり、某駅から乗せたお客さんに訊かれた。 「えっ!?」 青梅街道を右折したばかりのところである。 「あのっ…、此処は、その、青梅街道を南阿佐ヶ谷に向かって……」 と言う返答に お客さんが言葉をかぶせてきた。 「そうじゃなくてね、ぜんぜん違うはなし。私はね、 […]

第34怪『Good Times Bad Times』

新年も2週目となると 今年は何をしようかと考え始める。 毎年考えるのだが、 4週目には全て忘れている事が多い。 (ボケジジイか!?) 若い頃は夢と希望に見栄が重なり、 けっこうな目標を設定したりするのだが、 人生もベテランになってくると、 まずは健康であることに感謝したりして ついつい刹那的に喜んで […]

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