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第59怪『日曜の昼下がり/“一素茶庵”』

日曜は寝坊することに決めている。 南側にある窓から差し込む日差しが、 ぐるりと部屋の中を回り込むまで 目を開けないでいるのだ。 すると突然に身体がズンと重くなる。 2歳になる娘が布団の上に乗ってくるからだ。 逆光の中の小さな身体に布団を剥がされ、 笑い声とともに冬の冷気を感じる。 久々の休日だから、 […]

第58怪『霜月』

約45億年もの前の話……。 まだ若かった地球に 火星くらいの大きさの天体、 “テイア”と呼ばれる惑星がぶつかった。 その瞬間、地球と“テイア”の一部が 溶けた岩石として宇宙空間に飛び散り、 やがて、その破片が集まって 大きなひとつの“塊り”になる。 その生まれたばかりの“塊り”は、 地球からわずか2 […]

第57怪『ジグソーピース』

すっかりと秋めいてきた。 いや、ひとっ飛びに12月の気温なのだという。 夏が好きなので寂しい気もするが、 今年の暑さはちょっと度が過ぎていた気がする。 そこに身内の不幸と 僕自身のコロナや骨折が重なり、 いびつな団子になって転がって来たので、 それらにぶつかりながら過ごしていたら、 あっという間に夏 […]

第55怪 『南国骨折』

伯母が他界した。 通称、アッコさんである。 訃報を受け、 急いで羽田から宮崎へと飛んだ。 ある程度の覚悟はしていたが、 現実はいつも突然すぎると思う。 宮崎駅の改札口で懐かしい顔に会う。 ウチの奥さんだった。 実は彼女はこの3年間、 東京と宮崎を往復していたのだ。 そして、ついに今年の春からは、 通 […]

第54怪 『国立・地球屋“藻の月”/大西基・写真展での“どんと” “プライベーツ”』

先週の土曜はなんだか不思議な夜だった。 国立・地球屋での藻の月のLIVEだったのだが、 地に足が着いていないような 妙にうわずった夜だったのだ。 これは単に個人的な感覚なのだが、 夏のはじめはいつもそうなる気がする。 梅雨と夏の狭間に吹く風で 一瞬、心が浮いたようになる。 5時になっても昼のように […]

第53怪『アナログ天国とトンネル天国』

西荻のアナログ天国に行って来た。 駅から少し歩くが散歩だと思えばよい。 店はなかなかに落ち着く雰囲気があった。 これは主観だが、 下北沢のときよりも居心地がいいと思うのだ。 好きなレコードをかけて(もらって) 何か飲みながら絵でも描こうか、 という気になってくる。 高校生の頃はロック喫茶や 自宅で毎 […]

ティアドロップス(カズに捧ぐ)

歳をとって困ることは、 リアルに老いていく時間の中で 心は若いころのまんまだってこと。 ふと想ったりするのは、 今の現実が想像の世界だったりして、 昼寝から覚めたら隣りの部屋から わいわいという声がする気がする。 眠たい目をこすりながら起き上がり、 アルコールと草の匂いに煙る 隣の部屋を横切り窓を開 […]

第52怪『Kanonのスタジオ』

飯能にあるカノンのスタジオは 名栗川の上流に位置している。 以前はレンが住んでいたのだが、 今年からはカノンが引き継いだ。 川の畔に連なる集落を行くと 年季の入った古民家が現れるので、 小さな坂を下りて車を停める。 近所との境目のない庭を行き、 玄関の引き戸を開けると 屈託のない笑顔で彼女が迎えてく […]

第51怪 高木親(たかぎちかし)の幻影

高木親(たかぎ ちかし)こと、 チカちゃんに初めて会ったのは、 東芝EMIと契約する少し前だったと思う。 たぶん、『ボ・ガンボズ』のDr.Kyonの 紹介ではなかっただろうか。 彼らと同じく京都出身で、 『ギャンブル・ホーンズ』という ホーン・トリオで活動していたところを、 チカちゃんだけが『TEA […]

第50怪 お盆終わりの日曜/忘れられない夏

あたまの中で蝉の声がする。 目まいがするような めくるめく夏の景色に 忘れられない想いたちが、 ぷかぷかと浮いているようだ。 僕にとって若い頃の夏の楽しみ方は ゆらゆらと揺れている 蜃気楼のような景色を眺めることだった。 暑い暑いと言いながら華やぐ街で遊び、 海や森に避難して 浮世の垢を捨て去ること […]