TEARDROPS

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第51怪 高木親(たかぎちかし)の幻影

高木親(たかぎ ちかし)こと、 チカちゃんに初めて会ったのは、 東芝EMIと契約する少し前だったと思う。 たぶん、『ボ・ガンボズ』のDr.Kyonの 紹介ではなかっただろうか。 彼らと同じく京都出身で、 『ギャンブル・ホーンズ』という ホーン・トリオで活動していたところを、 チカちゃんだけが『TEA […]

第50怪 お盆終わりの日曜/忘れられない夏

あたまの中で蝉の声がする。 目まいがするような めくるめく夏の景色に 忘れられない想いたちが、 ぷかぷかと浮いているようだ。 僕にとって若い頃の夏の楽しみ方は ゆらゆらと揺れている 蜃気楼のような景色を眺めることだった。 暑い暑いと言いながら華やぐ街で遊び、 海や森に避難して 浮世の垢を捨て去ること […]

第49怪『お盆のちょっと怖い話 3回目』

10年ほど前になるだろうか。 家の階段を上がっていると、 「トシ!」 という声が突然に聞こえた。 数段先を上がっていた妻が 驚いた顔をして振り返る。 「えっ! 冨士夫?!」 そう、冨士夫(山口冨士夫)なのだ。 いや、正確には冨士夫の声なのである。 彼は何処かからコチラを見ているのだろうか? アチラの […]

第48怪/山口冨士夫とよもヤバ話/番外編『妹尾隆一郎さんと一夜限りの共演』

「トシ!宝くじで10万円当たったから早く来いよ!」 という突然の連絡を冨士夫からもらった。 金も返すが旨いもんでも食おうと言うのだ。 僕は文字通り小躍りしながら 冨士夫の家に飛んで行った。 あれは何十年前の春だったのだろうか? 景色が変わり、 “ここから何もかも変えていこう” という思いが溢れる季節 […]

第47怪『春が来た2024』

ついに春が来た。 きのうから暖かいのである。 途端に公園も人で溢れ、 新たなる季節を愉しんでいるようだ。 せっかくだから散歩することにした。 神社から城跡のある森を抜けて 三宝寺池へと降りて行く。 橋を渡るところの景色を眺めると 遥か子供の頃からの想いが蘇る。 ずっと此処に住んでいるのだ。 まだ学校 […]

第46怪『幸せの記憶』

思い出す限り、 初めて幸せな気分を自覚したのは 17歳の夏だった。 地元で行われていた花火大会で 彼女と待ち合わせをしていたら、 人混みの中の死角から 幻のフックを放つように彼女が現れた。 赤いタンクトップを着て、 その彼女が笑顔で腕を絡ませてきたとき、 予期せぬ至福感がゾワッと 込み上げてきたのを […]

第45怪『秋空に想う』

仕事場からは空が見える。 流れいく雲の景色と、 ゆったりとした空間が気に入っている。 こどものころから空が好きで ずっと見上げていた。 怠け者だったので 寝転んでばかりだったのかも知れない。 小さなころは仰向けになって 天井のシミで妄想をしていたら、 「大きなゴミがある」 とか言われて お袋にホウキ […]

第44怪 吉田さんパワー

思えば吉田さんが現れてからだと思う。 冨士夫のパワーが戻ったのは。 足首が象のように腫れ、 「これは水が溜まっているのだよ」 と訳知り顔で誤診した 某病院のドクターに見切りをつけ、 日の出町のつるつる温泉の近くにある、 ガンさん(クロコダイルのオーナー)のコテージで 冨士夫は療養をしていた。 そこに […]

第43怪 お盆のちょっとこわいはなし

エクトプラズムを見たのは中2の時、 14歳の夏休みに行った従兄弟の部屋だった。 最初は煙草の煙かと思ったんだ。 モヤァっとした煙が 顔面1メートルくらいの空中に現れ、 ふわふわと漂っていた。 でもおかしい、 煙草なんか誰も吸わないし、 ぼくは不良にはなりたがったが まだ、煙草は吸いたくなかった。 身 […]

第42怪『親父の夏』

夏になると親父を思い出す。 白いランニングを着て、 ステテコを履いて近所を出歩いていた。 いま、そんな格好でフラフラしていたら、 即、セクハラ職質である。 しかし、当時のおっさんたちの夏は、 上半身が裸であった。 暑くて家に中にいられないので、 玄関脇の縁台にでも座り、 うちわでパタパタと突き出た腹 […]

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