THE BEGGARS

1/3ページ

第50怪 お盆終わりの日曜/忘れられない夏

あたまの中で蝉の声がする。 目まいがするような めくるめく夏の景色に 忘れられない想いたちが、 ぷかぷかと浮いているようだ。 僕にとって若い頃の夏の楽しみ方は ゆらゆらと揺れている 蜃気楼のような景色を眺めることだった。 暑い暑いと言いながら華やぐ街で遊び、 海や森に避難して 浮世の垢を捨て去ること […]

第48怪/山口冨士夫とよもヤバ話/番外編『妹尾隆一郎さんと一夜限りの共演』

「トシ!宝くじで10万円当たったから早く来いよ!」 という突然の連絡を冨士夫からもらった。 金も返すが旨いもんでも食おうと言うのだ。 僕は文字通り小躍りしながら 冨士夫の家に飛んで行った。 あれは何十年前の春だったのだろうか? 景色が変わり、 “ここから何もかも変えていこう” という思いが溢れる季節 […]

第47怪『春が来た2024』

ついに春が来た。 きのうから暖かいのである。 途端に公園も人で溢れ、 新たなる季節を愉しんでいるようだ。 せっかくだから散歩することにした。 神社から城跡のある森を抜けて 三宝寺池へと降りて行く。 橋を渡るところの景色を眺めると 遥か子供の頃からの想いが蘇る。 ずっと此処に住んでいるのだ。 まだ学校 […]

第45怪『秋空に想う』

仕事場からは空が見える。 流れいく雲の景色と、 ゆったりとした空間が気に入っている。 こどものころから空が好きで ずっと見上げていた。 怠け者だったので 寝転んでばかりだったのかも知れない。 小さなころは仰向けになって 天井のシミで妄想をしていたら、 「大きなゴミがある」 とか言われて お袋にホウキ […]

第43怪 お盆のちょっとこわいはなし

エクトプラズムを見たのは中2の時、 14歳の夏休みに行った従兄弟の部屋だった。 最初は煙草の煙かと思ったんだ。 モヤァっとした煙が 顔面1メートルくらいの空中に現れ、 ふわふわと漂っていた。 でもおかしい、 煙草なんか誰も吸わないし、 ぼくは不良にはなりたがったが まだ、煙草は吸いたくなかった。 身 […]

第42怪『親父の夏』

夏になると親父を思い出す。 白いランニングを着て、 ステテコを履いて近所を出歩いていた。 いま、そんな格好でフラフラしていたら、 即、セクハラ職質である。 しかし、当時のおっさんたちの夏は、 上半身が裸であった。 暑くて家に中にいられないので、 玄関脇の縁台にでも座り、 うちわでパタパタと突き出た腹 […]

第37怪『ドッペルゲンガー』

20年以上も前になるだろうか、 僕は友人と出版社を作った。 友人は編集会社を経営していて、 僕はデザイン事務所をやっていたので、 合体して出版社をやれば 作りたい本を自由に出せると思ったのだ。 ところが、 遥か沖には″出版不況″という 大きな津波が顔を覗かしていた。 そんなことは気にもせず、 僕らは […]

第36怪『Magical Lizzy Band』

カノンのカウベルを持って地球屋に出向いた。 カノンが去年のイブに ShowBoatに忘れて行ったからである。 カウベルといえば、 高一のとき、母親の勤めていた 某都立高校の文化祭を見に行った際、 体育館のステージに ストーンズ風の学生バンドが 現れた時のことを思い出す。 カウベルのリズムと共に ″ホ […]

第34怪『Good Times Bad Times』

新年も2週目となると 今年は何をしようかと考え始める。 毎年考えるのだが、 4週目には全て忘れている事が多い。 (ボケジジイか!?) 若い頃は夢と希望に見栄が重なり、 けっこうな目標を設定したりするのだが、 人生もベテランになってくると、 まずは健康であることに感謝したりして ついつい刹那的に喜んで […]

第32怪『夢のベクトル』

藻の月を眺めながら2年余りが過ぎた。 僕は何かとこじつけて 物事を考えるのが好きなので、 月の満ち欠けとバンドを引っ掛けて (藻の月の)LIVEを行おうと想ったのだが、 感染症が世間に蔓延したこともあり、 思い通りにはいかなかった気がする。 冬が過ぎ春になり、 浮き足立つ気持ちで夏を迎え、 秋になる […]

1 3