第10怪『トビー』
- 2021.10.25
- 未分類
- TEARDROPS, THE BEGGARS, THE FOOLS, ウィスキーズ, カノン, シーナ&ロケッツ, ジョージ, よもヤバ話, ローリンストーンズ, ロックバンド, 久保田麻琴, 山口冨士夫, 藻の月, 青木真一, 高円寺, 高円寺バンド, 鮎川誠
ジョージ秋山が描いた
『浮浪雲』っていう漫画があったけど、
トビーを想うとき、
僕はあの世界を想像する。
別に彼はあんな風に
女ったらしでもなければ、
カッコつけでもないのだが、
なんだか浮世離れしているのだ。
苦い現実を受け入れながらも、
そこに角砂糖を入れて掻き混ぜ、
ひょいと、コチラに向き直る
素直さがあったような気がする。
「FB(Facebook)をするときはさ、そこに居る自分の姿も見せないと、見ているみんなに失礼だと思うんだ」
ある時、
トビーは大真面目にそう言った。
その通りに彼が更新するFBには、
常に自身の自我撮りが写っている。
僕にはその発想はない。
だから、ヘンテコで面白い奴だなぁ‥‥
って思ったのだ。
『THE BEGGARS(べガーズ)』の再編成も
言い出しっぺはトビーだったのだとか。
15年くらい前だったか、
何十年振りかで
ケンちゃんに連絡をとったら、
(佐藤けんいち/『THE BEGGARS』のVo.)
彼は昔のバンドで歌っているという。

ケンちゃんが若い頃に
バンドをやっていたなんて、
つゆも知らなかったから、
驚いたまま渋谷のDuoまで出向き、
『THE BEGGARS』が絶頂期に登り行く
ストーンズ/トリュビュートLIVEを観た。
その時の楽屋で、
ふいに親しげに話しかけて来たのが
バリバリ元気なシーンでの
トビーだったのである。
「トシさん、オレ、ダイナマイツのファンクラブに入ってたんですよ」
そんなクラブ知らねーなぁ、
くらいの知識しかないオイラに
いきなりの直球だった。
なんでも、小学生のときに
鷺ノ宮製作所辺りに停車していた
″ダイナマイツカー″を覗いたら、
中にいた瀬川さんと冨士夫が出てきて、
シングルレコードを売りつけられ、
ファンクラブに加入させられたらしい。
「小学生のガキにとんでもないですよね」
そう言いながら、
2人してしばらく談笑し、
「ところで、だれ?」
「あっ、『THE BEGGARS』のトビーです。ベースを弾いてます」
これが、初対面であった。
初めてなのに何故か
昔からの友達だったような気がした。
そんなトビーに
不思議なほど親しげな感情を
抱いていたのは僕だけではないだろう。
トリュビュートのシーンが
盛んだったこともあり、
『THE BEGGARS』演じるストーンズは、
日比谷の野音に出たり、


番外の簡易野外ステージではあったが
サマーソニックに2年続けて登場したりした。


さらに、サラリーマン溢れる
新橋駅前広場にあるバルコニーで
プロモーションをしたり、
本家ストーンズのワールドツアー
のスクリーンに現れたりしたのだ。
(まぁ、これは、ストーンズFC/池田会長のなせる技ではあったが…)

それならば、と、
『THE BEGGARS』をストーンズから脱却させて、
″オリジナルで勝負しよう″
と、冨士夫を招いてRec.したり、


PVを制作したりするところまでが、
『THE BEGGARS』の上り坂だったのかも知れない。
そういうエネルギーは
トビーから強く発しているように思えた。
バンド再編成に対して
言い出しっぺだったこともあるが、
音楽に対する情熱が半端なかったのである。
母親が綺麗な人で、
DJやら音楽を中心とした業界人らしく、
たびたびトビーのエピソードに登場する。
そんなシチュエーションもあるのだろう。
彼の音楽に対する想像力は多岐に渡り、
実にマニアックなのであった。
「これはいくらだったら買う?」
冨士夫の小冊子本を作ったとき、
値段設定に迷い、
トビーに聞いたことがある。
マニアックな目利き人の彼だったら、
適切な感覚を持っている気がしたのだ。
「1500円じゃないですか」
「わかった」
『山口冨士夫SO WHATこぼれ話』は、
こうして適正な価格? で、
世に出すことができたのである。
……………………………………
数年前からトビーは体調を崩して、
入退院を繰り返していた。
『THE BEGGARS』としての最後のLIVEは、
2019年の5月だから、
2年以上も前になるのだろうか、
レッドシューズが最後だったと思う。

これ以降再び調子を崩し、
以来闘病に専念していたのだ。
人生ってやつはいろいろあるが、
ヤバいと思いながらも
結局は何とかなるもんである。
トビーの場合もそう思っていた。
なんてったって奴には悲壮感がない。
アバウトな奴だが
それを補う優しさがあるのだ。
もしかすると、
そんな楽観的な感情が
思わぬ油断を生んだのかも知れない。
″ちょっと待ってくれ!″
と言う間もなく、
トビーは逝ってしまった。
トビー、
まだまだ聞きたいことが山ほどあるんだ。
大好きな母親のエピソードも
もっと聞かせて欲しいし、
ダイナマイツの話も
中途半端なままじゃないか。
何もかもが宙に浮いて漂っているのを、
何処で楽しんでいるのかぃ?
突然に肌寒くなってきた夕暮れに、
トビーの勇姿を重ねてみる。
日が沈みゆく雲間で
ベースを斜めに構えながら、
ビル・ワイマンばりに
無表情を気取ったトビーが映る。
何故かずっと想い浮かぶんだ、
そんなトビーの面影が。
もっともっと仲良くなれたのに。
いまはそれが残念でならない。

(2021/10/25)
PS/
トビーのことを思い描いていたら、
23日の土曜は偶然にも
レッドシューズに行くことになった。
お誘いがあり、
『Hurricane Sally & Reward』
を観に行ってきたのである。

トリオとは思えないほどの
重厚なサウンドに、
サリーちゃんの魅力が加わって、
頭の中がジンジンしているところに
トビーの幻影がオーバーラップした。
先にも書いたが、
彼のラストステージが
まさに、
この『レッドシューズ』だったのだ。
7月に『藻の月/Casurlismus』のアルバムを
ネットショップで発信した時、
真っ先に連絡してきたのもトビーだった。
「聴いてみて、感想を書いてくれるかい?」
という問いかけに快諾してくれ、
誰よりも早く批評してくれている。

◆トビートビー(F B/7/22)
“あれ~藻の月って
こんなバンドだったっけ
僕が知ってた彼らとは全く別のBand に変化していた。
ALBUMをかけた途端
昔の四人囃子かと思った。
この作品がどんな音なのかを
暗示させる叙情的、
内省的な言葉を吐き出す
NEIL YOUNGか
歌唱力云々とは別の世界感、
シャウトするだけが
ROCKじゃない。
時にDave GilmoreなGuitar Sound
MeloなSaxが曲を天空に誘う。
The Trinity Session
カウボーイ・ジャンキーズ的
なCOOLさもある。
Salomeはハイライトの一つだろう。
LastはイカしたROCK’N ROLL Number、
だけど不思議な浮遊感と
通り一辺じゃない歌詞は凄いね。
あれ~
藻の月ってこんなにイイ
BANDだったっけ!? “
(ちょっと誉めすぎである)
……………………………………

トビーが感じていた
日々の行動や気持ちは、
これらのネットを通じて
触れるように見ることができる。
身体が思うよう効かなくなっていく中で、
それでも生きていく毎日を、
終末の冨士夫に重ねながら
涙している姿は、
こちらにとっても感極まった。
色々と事情があるのだろう。
葬儀などの告知は不明である。
でも、僕たちが各々で
心から見送ってあげれば
いいと思っている。
12月になるが、
べガーズのけんちゃんのやるイベントが、
トビーの追悼を予定しているようだ。
今は心からトビーのことを想ってあげよう。
寂しがりやだったから、
思えば思うほど
無邪気に喜んでくれると思うのだ。

合掌
-
前の記事
第9怪『伊藤耕の誕生日』 2021.10.05
-
次の記事
第11怪『プライベート・カセットからRenのスタジオ作りまで』 2021.11.25