第48怪/山口冨士夫とよもヤバ話/番外編『妹尾隆一郎さんと一夜限りの共演』

「トシ!宝くじで10万円当たったから早く来いよ!」 という突然の連絡を冨士夫からもらった。 金も返すが旨いもんでも食おうと言うのだ。 僕は文字通り小躍りしながら 冨士夫の家に飛んで行った。 あれは何十年前の春だったのだろうか? 景色が変わり、 “ここから何もかも変えていこう” という思いが溢れる季節 […]

第47怪『春が来た2024』

ついに春が来た。 きのうから暖かいのである。 途端に公園も人で溢れ、 新たなる季節を愉しんでいるようだ。 せっかくだから散歩することにした。 神社から城跡のある森を抜けて 三宝寺池へと降りて行く。 橋を渡るところの景色を眺めると 遥か子供の頃からの想いが蘇る。 ずっと此処に住んでいるのだ。 まだ学校 […]

第46怪『幸せの記憶』

思い出す限り、 初めて幸せな気分を自覚したのは 17歳の夏だった。 地元で行われていた花火大会で 彼女と待ち合わせをしていたら、 人混みの中の死角から 幻のフックを放つように彼女が現れた。 赤いタンクトップを着て、 その彼女が笑顔で腕を絡ませてきたとき、 予期せぬ至福感がゾワッと 込み上げてきたのを […]

第45怪『秋空に想う』

仕事場からは空が見える。 流れいく雲の景色と、 ゆったりとした空間が気に入っている。 こどものころから空が好きで ずっと見上げていた。 怠け者だったので 寝転んでばかりだったのかも知れない。 小さなころは仰向けになって 天井のシミで妄想をしていたら、 「大きなゴミがある」 とか言われて お袋にホウキ […]

第44怪 吉田さんパワー

思えば吉田さんが現れてからだと思う。 冨士夫のパワーが戻ったのは。 足首が象のように腫れ、 「これは水が溜まっているのだよ」 と訳知り顔で誤診した 某病院のドクターに見切りをつけ、 日の出町のつるつる温泉の近くにある、 ガンさん(クロコダイルのオーナー)のコテージで 冨士夫は療養をしていた。 そこに […]

第43怪 お盆のちょっとこわいはなし

エクトプラズムを見たのは中2の時、 14歳の夏休みに行った従兄弟の部屋だった。 最初は煙草の煙かと思ったんだ。 モヤァっとした煙が 顔面1メートルくらいの空中に現れ、 ふわふわと漂っていた。 でもおかしい、 煙草なんか誰も吸わないし、 ぼくは不良にはなりたがったが まだ、煙草は吸いたくなかった。 身 […]

第42怪『親父の夏』

夏になると親父を思い出す。 白いランニングを着て、 ステテコを履いて近所を出歩いていた。 いま、そんな格好でフラフラしていたら、 即、セクハラ職質である。 しかし、当時のおっさんたちの夏は、 上半身が裸であった。 暑くて家に中にいられないので、 玄関脇の縁台にでも座り、 うちわでパタパタと突き出た腹 […]

第41怪『ジョージのバースデー』

某出版社の noteに ジョージのことを書き始めた。 それで気づいたんだけど、 実はジョージのことを あまりよく知らないのだ。 『ウイスキーズ』からの付き合いだから、 記憶の中に30歳そこそこの自分が思い浮かぶ。 その横でやたらと背の高い ハンサムボーイがはにかんでいる。 照れ隠しなのか、 ブラック […]

第40怪『月見ル君想フ』

春が来た。 日差しが柔らかくなり、 風がサワサワと音を立てている。 あっという間に芽吹いた緑は、 日常の景色を一変させ、 固まった心をほぐすように 人生の続きを示唆している。 庭を見ていると 順番に花の蜜を集めに来る虫たちが映る。 それは実に規則的で、 まずは小さな羽虫や蜜蜂が飛び回り、 やがてクマ […]

第39怪『チコヒゲ🥸と呑む@2023』

チコヒゲと会うのは1年振りだ。 昨年の春、 藻の月のLIVEを観に来てくれて、 ″ロックなんだね″と、 意味不明なコメントを残して 帰って行った振りなのである。 チコヒゲ先輩を呼ぶときに ほんとうは″さん″を付けなくてはならないのだが、 チコさんじゃへんだし、 ヒゲさんでもおかしい。 チコヒゲさんじ […]

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