第56怪『冨士夫の13回忌‥。そして、骨折後日談』
- 2025.08.18
- 『藻の月』BLOG
- DEEPCOUNT, googlovin, JAZZY UPPER CUT, RANGSTEEN, TAMBLINGS, TEARDROPS, The Beatles, THE FOOLS, ウィスキーズ, カノン, ザ・プライベーツ, シーナ&ロケッツ, ジョニー・サンダース, タフビーツ, チコひげ, ブルースビンボーズ, マンホール, よもヤバ話, ローリンストーンズ, 久保田麻琴, 伊藤耕, 夏休み, 山口冨士夫, 村八分, 藻の月, 青木真一, 高円寺バンド, 鮎川誠
地元の整形外科に行った。
宮崎の医師からもらった
CDRと診断書を持参してである。
「手術好きの先生なら(手術を)やるかもしれないから、嫌ならしっかりとした意思表示をしてください」
そう言いながら
宮崎の髭ズラ医師はニヤッと笑った。
それを思いだすと
真夏の景色がグニャっとゆがむ。
それにしても暑すぎるのだ。
片足に靴を履き、
片足はギプスにサンダルという姿。
そんなバルタン星人の手のように
腫れた左足をひきずりながら、
駅前にある整形外科を訪れた。
「このくらいなら、ゆっくりとまっすぐに歩いていれば大丈夫ですよ」
とメガネをかけた女医さんに言われ、
「曲がっちゃいけないんですか?」
という言葉を飲み込んだ。
最近、実にくだらない考えが頭をもたげる。
暑さのせいだろうか?
浮かんだ想いが蒸発していくのだ。
結局、駅前の整形外科には3回通った。
行く度にレントゲンを撮り、
3回目でギプスが外れた。
帰宅して、
足がバルタン星人ではなくなったことを奥さんに告げると、
「よかったね。(宮崎から)家に帰ってきたら独り言も言わなくなったし‥‥」
と居間で片付けごとをしていた奥さんに言われて、
「独り言なんて、いつ言っていた?」
と返すと、
「おばちゃん家でずっと喋っていたじゃない」
とリターンされた。
覚えがないのである。全く自覚がない。
ずっと遺品整理をしていて、
写真や手紙や日記やらの思い出の品を手に取って、
確かに人の人生の儚さを実感した想いはある。
しかし、その作業はシンプルで寡黙な時間だった。
誰かと会話を交わした覚えもないし、
ましてや、独り言を言うなんて、
ありえないもいいところなのだ。
「そうか、じゃあ、おばちゃんが取り憑いていたんだな。似たような場所で転んで骨折もしたし、おばちゃんが通っていた宮崎の整形外科の先生にも会いに行ったしね。全て、おばちゃんが仕向けていたのかも知れない……。」
と、冗談めかして言うと、
末娘が、「こわっ!」っと、びびっていた。
しかし、まぁ、なんとも不思議な話である。
といっても、
本人は全く自覚がないのであるが……。

…………………………………………
とかいっている間に、
今年も『お盆』がやってきた。
木漏れ日の中の蝉時雨が、
子供たちの遊ぶ声と重なる。
夏になると、
毎日のように海に行った北鎌倉の日々を想う。
あのころ僕らは開放的で、
怠惰で、快楽主義で、
少しばかり傲慢だった気がする。
そんな日々を思い出すLINEが娘(長女)から届いた。
たまたま仕事で鎌倉まで行ったので、
北鎌倉まで足を伸ばしたというのである。
長女が北鎌倉に住んだのは
2歳から4歳までの2年間だった。
それは、冨士夫たちが合宿のように
我が家に寝泊まりしていた日々と重なるのだ。
その長女から届いたLINEには、
かつての我が家が映っているのだが、
驚いたことに、
今はお店になっているらしい。

かつての門がまえに暖簾が下がっている。
ビーガンのお店に変身しているのである。
みんながくつろいでいたかつての居間には
客用のテーブルが置かれ、
お店のメインルームに変貌している。

「おかえり、トシ。ビール、のむかい?」
そう言って迎えてくれる冨士夫の幻影が、
居間の奥に思い浮かぶ。
窓に近い壁を背に
冨士夫はいつもギターを弾いていた。
それは、壊れかけたガット・ギターなのだが、
冨士夫が弾くと
何故か良い音色だったのを覚えている。

裏山から吹いてくる風に乗って、
花びらや木の葉が出窓の向こうに舞っている景色。
それらと戯れるように幼かった長女が、
庭を駆け回っていたのを思い出す。

あの頃の娘は2歳で、僕は26歳。
冨士夫は確か32歳になる夏だった。
目の前にある景色しか見えなくて、
何もかもが行き当たりばったりだった。
時間ができると由比ヶ浜まで出かけた。
海の家でごろ寝をしたり、
カセットに入れた
『村八分』や『ひまつぶし』を聴いて、
ずっと空を眺めていたような気がする。
時には夜更けの海を見に、
3歳になる頃の長女を自転車に乗せて
浜辺まで出かけたりした。
夜の海は水平線と空との境界がなく、
真っ暗な濃紺の世界だった。
暗闇に目が慣れるまで
ずっと波の音だけを繰り返し
聴いていたていたのを思い出す。
あのころは身近な人が逝くなんて想いもしなかった。
出会いこそが人生で、
別れは、おとぎ話のように
遥か遠くの出来事だったように
思っていたのかも知れない。
L H O O Q “ルーク Monotsuki ”藻の月” 2025/04/13 晴れたら空に豆まいて{LIVE}/VTR:Andy Shiono
去る8月14日は冨士夫の命日だった。
逝ってしまってから12年経つから
13回忌ということになるのだろうか。
「何かライブでもやって盛り上げるか」
今年の初めに吉田さん
(exダイナマイツ・冨士夫の親友)
から連絡が来たが、
なんとなくそのままになっている。
お盆が過ぎると、
蝉の声が遠のくように夏の想いも過ぎていくのだろう。
ひぐらしの声が途切れる夕暮れに、
ふと耳の奥でガットギターの音がよみがえる。
もう、その姿を見ることは叶わないのに、
不思議と空気の中に
音だけがとどまっている気がするのだ。
…………………………………………
おさらば from 山口冨士夫 / ひまつぶし -2022 Digitally Remastered CD
(2025/08/18)

一素茶庵 (いっそちゃあん)
ベジタリアン/ヴィーガン対応レストラン
肉魚乳卵を一切不使用!
素食の知恵を導入し、身体に低負担の食事が日本でも手軽に楽しめるよう目指します。
我們完全不使用肉魚奶蛋!希望將台灣素食文化引入,讓日本人也可以輕鬆享受對身體負擔較小的植物性飲食。
175-1, Yamanouchi, Kamakura 2470062

https://goodlovin.net/items/6880f37f9ad1d5cab02f05b4
山口冨士夫 PRIVATE CASSETTE
¥6,080

https://goodlovin.net/items/6864cc6379443d2ccb9d167a
山口冨士夫 RIDE ON!<限定12インチ>【送料込価格】8/27発売/予約商品
¥4,430 税込

https://www.tuff-beats.com/product-page/tbv-0075
TEARDROPS / MIXIN’ LOVE(LP)
SKU: TBV-0075 ¥6,200

https://www.tuff-beats.com/product-page/tbv-0074
TEARDROPS / らくガキ(LP)
SKU: TBV-0074 ¥4,800

https://goodlovin.net/items/68061c933c173d309442308f
フジオ、チコヒゲ&レイ/“TOKYO HIPSTARS CLUB” LIVE<初回限定盤(DVD +CD)>¥4,950 税込

https://goodlovin.net/items/67b2e0253ffe3e01e7aee0ce
【藻の月 / 7th album “Sir”(村越”ハリー”弘明参加)】初回限定特典付
¥2,970 税込
-
前の記事
第55怪 『南国骨折』 2025.08.01
-
次の記事
第57怪『ジグソーピース』 2025.10.25