2024年1月

第46怪『幸せの記憶』

思い出す限り、 初めて幸せな気分を自覚したのは 17歳の夏だった。 地元で行われていた花火大会で 彼女と待ち合わせをしていたら、 人混みの中の死角から 幻のフックを放つように彼女が現れた。 赤いタンクトップを着て、 その彼女が笑顔で腕を絡ませてきたとき、 予期せぬ至福感がゾワッと 込み上げてきたのを […]