2022年

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第21怪『桜吹雪』

桜が咲いた。 青空にゆらりと揺れている。 と思ったら、 あっという間に散ってしまうのだ。 ″さようなら、よい春をお迎えください″ とでも言うように、 春の嵐のような風が吹き、 時には意地悪な雨に打たれ、 つかの間の浮かれ心は終わるのである。 子供の頃は桜の開花に さしたる意識もなかった。 至る所にあ […]

第20怪『サブスク』

2年も前の話になる。 藻の月のレコーディングのとき、 その時点で急遽参加することになったレンに、 「サブスクはどうするんですか?」 と訊かれて、 「やるよ」 と反射神経で答えたのだが、 ″サブスクってなんだっけ?″ と思った。 その時点で、脳内に記憶している 単語ではなかったのである。 (笑ってくだ […]

第19怪『マンホールのクヤ』

クヤと呑むのは楽しい。 弱いくせに飲みたがるからだ。 乾杯をして小1時間もすると調子が良くなる。 「酔っ払ってるんだろ?」 「まだっスよ!そんなことあるはずないじゃないですか!」 そう言いながら小突いてくる。 明らかに酔っているのだ。 ソーシャルディスタンスも へったくれもあったもんじゃない。 でか […]

第18怪『花はどこへ行った』

ついに3月になった。 だんだんと暖かくなってくる。 枯れ木にも春芽が出ているのがわかる。 小さく縮こまった想いが、 大きく伸びをする季節なのだろう。 だけど、いつもなら ウキウキする季節の変わり目が、 なんだかモヤモヤとしている。 世界中が酷い仕打ちにあって、 やっとのことで支えあっているこの時間に […]

第17怪『その後のオイラ・オミクロン』

朝早くから電話が鳴った。  「…あんだよ!」 なんてぼやいたかどうかは覚えてないが、 ファックス兼用の受話器をとる。 「kasuyaさんですか?」 「はい」 「アナタのクリニックです。結果から言うと陽性です。熱はありますか?」 「……あっ、ないです」  「どんな様子ですか」 まだ夢の続きをみているよ […]

第16怪『その後のノンちゃん・幸せのはじまり』

正月過ぎからずっと MAKIの部屋に通っている。 MAKIが可愛がっていた 猫のノンちゃんに御飯をあげるためである。 誰も居なくなった部屋に残された MAKIのノンちゃんは、 傷ついて不安そうであった。 だから、おいそれと コチラには近寄っては来ない。 リラックスできないのか、 警戒心いっぱいで様子 […]

第15怪 番外編/山口冨士夫とよもヤバ話『MAKIの思い出』

最近、よく冨士夫の夢をみる。 相変わらずマネージャーとして いろいろな問題に直面しているのだ。 先日などはセブンイレブンから 生配信する予定があり、 やけに暗い店内のカウンターの 奥にいる店長らしき老人に、 「今からここで生LIVE配信をしてもよろしいですか?」 と訊いていた。 セブンイレブンのカウ […]