第19怪『マンホールのクヤ』

第19怪『マンホールのクヤ』

クヤと呑むのは楽しい。
弱いくせに飲みたがるからだ。

乾杯をして小1時間もすると調子が良くなる。

「酔っ払ってるんだろ?」

「まだっスよ!そんなことあるはずないじゃないですか!」

そう言いながら小突いてくる。
明らかに酔っているのだ。

ソーシャルディスタンスも
へったくれもあったもんじゃない。
でかい口を開けて笑う。

そのうち、あろうことか、
コチラをからかい始めるのだ。

オイラを指して、”天然″だから!

……って言い放った。

「オレは天然か?」

その時のクヤはすでに酔って
魚のよーな目をしている。

″天然はお前じゃないのか?″

けっこうそこら辺から
コッチは笑いモンになっているのだが、
何故か悪い気はしない。

″この世でからかわれて楽しいのはクヤくらいのもんだな″
けっこう、本気でそう思うのだ。

去る1年前の3月、
春爛漫のこの日は『藻の月』談義を
クヤとコイワイくんにしていた。

正直言ってコロナ禍が
こんなに長く続くとは思っていなかったので、
客観的な意見が欲しかったのである。

と言うのは名目で、
単に飲みたかっただけなのかも知れない。

「さぁ! もう一軒行くか!」

って、ところで、
クヤはすでに茹で蛸のよーになっている。

そうかと思うとコンビニの横にある
チャリンコにいきなりまたがり、
やにわに帰り支度を始めるのである。

「あんだよ!自転車で来たのかよ。帰るんか?」

「帰りますよ!明日があるんで」

見た目はワイルドだが、
中身はナイーヴなので、
ここは行かせてあげようと思った。

「クヤにも明日があるんだな。まぁ、いいや、『藻の月』とライブをやらろうな!」

「いいっすよ!」

そう言いながら自転車で
蛸踊りのように去って行く。


(▲マイクとビールを間違えてステージに立つクヤ)

そんなクヤの後ろ姿を見送ってから
早や1年が経つ。

一緒にやるはずだった昨夏の満月ライブは、
RANGSTEEN、マンホール、藻の月ともども、
コロナ禍で大変な状態になったので中止した。

だから、プランニングから1年越しで
この春にやっと実行できるのである。

今でもウィルス感染は続いている。
高止まりは決して安全とは言えない。

オミクロンはステルス化して
より強靭な姿に変貌するというから、
油断ならないのである。

本来、生物というものは、
心と身体と環境によって成り立っているという。
だから同じ環境下にいる生物は
同じ思考を持って
同じ行動をするものなのだという。
生きている環境を理解し、
支え合いながら生きていくものなのだ。

その環境をおろそかにし、
自分の欲ばかりを主張し過ぎると
自然のバランスが崩れてくる。

きっと、環境が怒っているのだろう。

今の環境破壊を続けていく限り、
アンバランスな時間も続いていくのだ。

さて、来たる21日にマンボウも解除される。
だからといって無制限に騒げるものでもないが、
とりあえず音楽を愉しむ環境は戻りつつある。

どなた様もそれぞれに心を開放して、
気をつけながら楽しめば良いと思う。

クヤのマンホールも良いけど、
RANGSTEENもカッコいい!
藻の月ともども、
両手を広げてお待ちしております。

お時間がありましたら、
早春の日曜の夜、
是非ともお越しくださいませ。

(それにしても昨夜の地震は怖かった…)

(2022/03/17)

3月27日(日) 高円寺ShowBoat
18:00 open 18:30 start
前売2500 当日2800

マンホール
藻の月
RANGSTEEN