THE FOOLS

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第37怪『ドッペルゲンガー』

20年以上も前になるだろうか、 僕は友人と出版社を作った。 友人は編集会社を経営していて、 僕はデザイン事務所をやっていたので、 合体して出版社をやれば 作りたい本を自由に出せると思ったのだ。 ところが、 遥か沖には″出版不況″という 大きな津波が顔を覗かしていた。 そんなことは気にもせず、 僕らは […]

第36怪『Magical Lizzy Band』

カノンのカウベルを持って地球屋に出向いた。 カノンが去年のイブに ShowBoatに忘れて行ったからである。 カウベルといえば、 高一のとき、母親の勤めていた 某都立高校の文化祭を見に行った際、 体育館のステージに ストーンズ風の学生バンドが 現れた時のことを思い出す。 カウベルのリズムと共に ″ホ […]

第35怪『縁“えん”は異(不思議)なもの』

「運転手さんは、今どこらへんですか?」 いきなり、某駅から乗せたお客さんに訊かれた。 「えっ!?」 青梅街道を右折したばかりのところである。 「あのっ…、此処は、その、青梅街道を南阿佐ヶ谷に向かって……」 と言う返答に お客さんが言葉をかぶせてきた。 「そうじゃなくてね、ぜんぜん違うはなし。私はね、 […]

第34怪『Good Times Bad Times』

新年も2週目となると 今年は何をしようかと考え始める。 毎年考えるのだが、 4週目には全て忘れている事が多い。 (ボケジジイか!?) 若い頃は夢と希望に見栄が重なり、 けっこうな目標を設定したりするのだが、 人生もベテランになってくると、 まずは健康であることに感謝したりして ついつい刹那的に喜んで […]

第33怪『青ちゃんの誕生日/2023』

正月は昔からずぅっと休むことにしている。 駅伝を見て、高校サッカーを見て、 ボォっと空を眺めながら 良い夢想をして過ごすのだ。 (単にサボっているだけなのだが) それでも4日ともなると、 そろそろウォーミングアップに 何かを始めようかと思う事が多い。 そんな正月明けの1月5日に青ちゃんは誕生した。 […]

第32怪『夢のベクトル』

藻の月を眺めながら2年余りが過ぎた。 僕は何かとこじつけて 物事を考えるのが好きなので、 月の満ち欠けとバンドを引っ掛けて (藻の月の)LIVEを行おうと想ったのだが、 感染症が世間に蔓延したこともあり、 思い通りにはいかなかった気がする。 冬が過ぎ春になり、 浮き足立つ気持ちで夏を迎え、 秋になる […]

第31怪『親父の命日』

実に私ごとなのだが 今年も親父の命日が近づいている。 毎年、この季節になると思い出すのだ。 親父が逝ったその年は 色々な意味で人生の分岐点だったので、 今でも印象深く残っているのかもしれない。 余命二ヶ月と告げられた親父の時間は、 10月の時点で半年近く延長されていた。 僕は毎日親父の病室に通ってい […]

 第30怪『フールズ/フリーダム』

すっかりと秋めいた気分になると、 何かが終わるような 妙なざわめきが浮かんでくる。 真夏の猛暑の景色では、 汗だくになって蠢いている自分がいた。 まるで目の前しか見えていないかのように 夢中になって身体と心を動かしているのだ。 初めてフールズを見たのは そんな季節の真っ只中だった。 空はとても蒼くて […]

第29怪『夜の海』

若い頃は何かと夜の海に行った。 北鎌倉に住んでいた頃の話である。 チャリンコでギコギコと由比ヶ浜まで行き、 浜辺に座って暗い波間を眺めるのだ。 暗闇に目が慣れてくると、 黒から青からグレーまで、 実にさまざまな暗さが見えてくる。 風の心地良さも相まって 暗い世界から明るい未来を 想像するように、 じ […]

第28怪『残暑お見舞い』

サミー前田から写真が届いた。 『シーナ&ロケッツ』にゲスト参加 したころの冨士夫が写っている。 場所は日比谷の野音、 ’86年の内田裕也さん主催の イベントでのワンショットなのだ。 この頃の冨士夫はまだ30代後半である。 (さすがに若い) ’86年の6月といえば、 […]

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